定例会事業報告

平成15年8月30日
  2003年度第4回 8月定例会 第4回常任委員会
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2003年度 米穀青年部会5団体合同討論会 報告を読む
平成15年5月17日
  2003年度第3回 5月定例会 第3回常任委員会
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平成15年3月8日
  2003年度第2回 3月定例会 第2回常任委員会
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平成15年1月19日
  2003年度第1回 1月定例会 第1回常任委員会
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2003年度第4回 8月定例会 第4回常任委員会
(平成15年8月30日)
ハイネスホテル久留米にて
(株)商経アドバイス専務取締役
中村 信次氏


不作が懸念が強まる15年産米の需給事情と価格の見通し、流通業界の課題と要注意点等

7月末で作況は94位ではないだろうか。年間894万トンの需給があるが、平年作が879万トンとすると作況を94として824万トン。約70万トンの不足が考えられるが、150万トンの古米在庫がある。平成5年産米は、20万トンの在庫しかなかった為パニックが起こったが、15年産米は古米在庫並びにSBS、MA米の在庫もあり、十分な流通量はあると考えられる。
今現在は新米相場が高く、なかなか新米が売れなく古米の消費が進んでいるが、その分15年産米が押し出されて先延ばしになっている。JAS法への対応を考えなければならない。複数原料、複数年産、ブレンド米が今後ますます増えてくるだろう。自社ブレンドを確立しなければならない。よって15年産米については目先の原料対応で良いのではないだろうか。
9月1,2週の新米がとれる。(東海、北陸地区)四国産の価格は下方修正されるであろう。
15年産米の最終的価格は下げである。平成16年産は、16,000円〜17,000円からの始まりか。これからは、2、3週間、2、3ヶ月、半年、1年のスパンで流通と価格の見通しを立てていかなければならないであろう。
コシヒカリ、秋田小町等の単一銘柄やまた優良産地にこだわり過ぎて一部銘柄を追いかけるのではなく、表示ありきではなく中身の美味しさ、価格に見合った商品の提案を考えていかなければならない。

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2003年度 米穀青年部会5団体合同討論会
テーマ「売れるコメ創り!!」〜生産から流通〜

日時:平成15年6月20日
場所:霞ヶ関東京會舘35階


コーディネーター及びパネリストのご紹介

○コーディネーター
岸 康彦 氏 (財団法人日本農業研究所 研究員)
早稲田大学文学部卒業。日本経済新聞社入社後、岡山支局長、名古屋支社報道部次長、高松支局長、編集局統括本部速報部長を経て、農政担当論説委員に就任。定年退職後、愛媛大学農学部教授。退官後より現職。また、多数の審議会委員等を歴任。

○パネリスト
<流通業者>
三橋 美幸 氏  (?ミツハシ 代表取締役社長)
早稲田大学法学部卒業。?ミツハシに入社後、常務取締役営業本部長、代表取締役副社長を経て、平成7年12月より現職。
千田 法久 氏  (千田みずほ? 常務取締役)
上智大学理工学部卒業。千田みずほ?入社後、横浜工場管理部長、営業部長、取締役業務推進本部長を経て、平成9年6月より現職。

<生産者>
門傳 英慈 氏  (JA全青協  参与)
岩手大学人文社会科学部卒業。栗っこ農協青年部一迫支部委員長、宮城県農協青年連盟委員長、全国農協青年組織協議会会長を経て、現在は全国農協青年組織協議会参与。
三上 一正 氏  (JA全青協  副会長)
青森県立野辺地高校卒業。七戸町農協青年部長、青森県農協青年部協議会委員長、全国農協青年組織協議会理事を経て、現在は全国農協青年組織協議会副会長。





現在、米に纏わる諸問題について、生産者については、よく取り上げられて新しい施策が考えられているが、流通については、非常に関心が薄い。
そこで@水田農業政策・米政策再構築の基本方向A米政策大綱B米のあるべき姿に向けてC米政策基本要綱(案)D米流通データから流通部分について書かれていることを抜粋した。(配布資料あり)
米全体が追い込まれている状況下の中で、パネリストの事項紹介、昨今の状況についての話し合いが始まった。


門傳
生産調整の議論は苦労した。米は追い詰められている。今回の米政策が失敗したら崩壊になりかねない。生活の糧としての「米」をどう捉えるかラストチャンスではないか。


三上
全青協は,JA・国に対して提言を行っている。農業が持続していけるのか大変不安である。いち生産者として意見を述べたい。


三橋
米業界は、色々言われているが、厳しさを明確化する必要がある。社会の進化に業界が取り残されている。しかし、悲観するだけではなく、学びながらでも進化には追いつける。今日のテーマである売れる「米」は何か、むしろこちらが知りたい。
この業界は世間とすっかりズレてしまったのではないか。産業として成り立つのか。しっかり収益の上がる業界にしていかなければ成らない。儲かるにはどうしたら良いのかを考えていく。自分たちがやらなければ誰も何もしてくれない。この業界にもそういう波がやっと来た。


千田
最近の米流通は、最も混沌としているのではないか。表示ルールも含め新しい生産・流通の形が必要である。あるべき姿、価格は、どこにあるのか。原材料の問題、小麦は、800万t弱輸入されている。米の生産量は、900万tであり、米が食材の一部になるのではないか。


門傳
米は、今までいい意味、平等。悪く言えば限りなく横並びだった的にやってきた。しかし、自立・自己責任・市場重視・消費者重視に移行している。競争を行う前提は、ルール作りとルールを守ることである。安易な価格競争は、無能である。安定供給と適正価格、理念を持つ。
いち商品に成り下がった、我々の米が軽んじられているのはお互いの反省である。
しかしながら、安定供給といっても、供給過剰で小売サイドから、足元を見られているので、当然価格についても小売主導になってしまうのではないか。
生産者も反省すべきであり、何のために米を作るのか理念を持たなければならない。


三上
担い手のどうやって継承し、どのように継続していくのか米という産業は危うい。
三橋 安定供給とは何か。リスクは、全ての産業に存在するのである。常にリスクはあるという前提で議論が進められるべきである。米についてあらゆる規則を取っ払い、補助・助成も原則なくしてしまったら、米の生産・流通はどうなるのか。他の農産物は原則それで行われている。米がいち食品と成った時、産業として成り立つのか。農家も流通も賢いので、みんなが智恵を絞ればできるのではないかと思う。


千田
ルールとは何か、非常に難しいが、補助金の延長で農協の子会社が卸をすることは、不公平であり、根本的な問題解決にはならない。
先ずは、消費を拡大することが第一である。


三上
米・野菜は、売値が自分で決められない。選択できるようにすべきだ。


三橋
今まで米を損得無く作っていたという環境に重みを感じてならない。米が主食でなくなるというリスクも乗り越えていかなければならない。


千田
弊社に勤めるある兼業農家の会話だが、米農家は、自分の圃場の畦の整備の補助率が高い安いという会話をしているが、片や切花農家は、オーストラリアから新種のチューリップが輸入されるがどう対応するかという話である。同じ農業者であるが米農家は、甘やかし依存体質が根付いている。
それは生産者に限らず、卸双方に言えるのではないか。


三橋
米政策そのものがソフトランディングを目指しているが、先延ばしを危惧する。

意見 (果樹農家)消費者ニーズをもっと洞察し、地域性マーケット因果必要ではないか。
補助・国境処置も世界的には必要である。





Dの資料について
千田
米の消費は毎年約1%減り続けている。今まで米は主食だった。副食等に押されている。人口が増えていても下がる。人口が減ったら相当下がる。消費が無いところでいくら作っても駄目である。
消費を増やしていかなければ成らない。米全体の消費を考える。


三橋
補助金は、駄目だ。出しても基礎研究部分ではないか。

意見 輸入を危惧するより、コストを下げ輸出をする努力は必要ではないか。
戦える日本農業を目指してはどうか。
低タンパク米を作っている。ジャポニカをベトナムで作ってフィリピンで売っている。今EUが寿司ブームである。国内だけでなく海外を見る。米価が下落すると粉かして麦とかとうもろこしと対向する穀物となる。


三橋
DNA鑑定について、卸の責任ではなく生産者が出荷段階で保障するべきではないか。それと安全性の問題、カドミウムの問題、一番の問題である。最低レベルのことである。

意見 カントリーエレベーターのDNAやトレースについて、議論されている。


千田
意図せざる混入については、表示に「商品には万全を規しておりますが、万が一違う品種が・・・・」という記載方法があってもよいのではないか。できない表示はしないということである。


全中がトレーサをしていると聞くがその実態はどうなのか?

門傳
専業は良いが、兼業は辛そうだ。週に1回しか農業をしないのに記載項目が多すぎる。生き残りのために必死に行っている。

開発の場合、今の米価が高いのではないか? 8,000円説はあるのか。
門傳 通常24,000円、残りを農協16,000円で売っている。主食用が中心だ。主食用以外のエサ用加工用などの品種開発が遅れているのではないか。麦・大豆も同じだが・・・。


三上
うちは、1俵12,000円で農協に取引されている。卸はうまい米をよこせという。そして収量を下げるともっと安くしろという。堂々巡りだ。生産者は、色々な用途に対応する用意がある。


千田
現行価格は、銘柄優先である。新潟でも酒造用の加工用途に合う価格のお米が年々無くなり皆コシヒカリに成ってしまった。用途に合った米の価格を考える必要がある。食味利用、発行利用、成分利用それぞれの用途があり、全てが美味しいお米でなければならないわけではない。主食の需要、加工米の需要を考える。


三橋
安全性、カドミウムの問題は避けられない、どんなに大変でもやれるとこまではやらなければならない。生産地を見直す。今やらなければ大変なことになる。我々がやっていかなければならない。我々の業界には夢が必要である輸出も夢の一つではないか。例えば、コシヒカリのような品種が世界で栽培されているのに日本ではその開発のメリットを享受(知的財産権)できていない。もっと国としても主張していくべきところではないか。そうすれば、世界中で日本の米が栽培されることだってある。それは、日本の農業に夢を与えてくれるのではないだろうか。





本日は、業界に対する泣き言が一切無く前向きな意見をありがとうございました。





感想
3時間があっという間で、大変聞き応えというか危機応えがあるシンポジウムだった。
この業界でもう一つ見失っているものは、消費者ではないだろうか。本当に消費者を見て仕事をしているのだろうか。消費者ってお米の味をどれくらい知っているのだろうか。
またその指標になる見本になる表現なり数値は、理解しているのだろうか。
消費者はお客様ではあるが、やはりそこには、理解を即していくための教育的な活動が必要になるのではないだろうか。
流通と生産者の話を聞いていて、つくづく消費者を置いてきぼりにしているのを感じた。

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2003年度第3回 5月定例会 第3回常任委員会
(平成15年5月17日)
「お米の可能性を探る 米粉パン開発秘話」

食品研究センター センター長 江川 和徳先生
新潟県 清風荘にて


米は、日本の主食で、およそ約800万トンが米飯として消費されている。又、米菓、日本酒、米粉として加工用米として約130万トン消費され、内12万トン米粉として利用されている。米粉は、種々資材との配合性に優れ、和菓子などに利用されてきた。
米粉は従来から荒い米粉としてロール粉、衝撃粉、細かい米粉として胴搗きした胴搗き粉があり、単独もしくは配合して種々和菓子用途に使用されてきた。
製粉方式固有の形状を持ちながら、種々形状の粒子が混在する粉体特性の異なる粒子の集合体である。
これを加工する場合には加水して33〜35%にしてから寝かせを取る。寝かせることにより個々の粒子と親和してヌレという視点で均質な粉体特性の粒子集合体になる。
一方、時を同じくして飽和に近い和菓子用途から小麦粉用途に適用できる米粉の開発ニーズが製粉業界から求められると共に消費者サイドからもワンハンドで食せる米製品を求める声が聞こえ始め小麦粉並みの微細米粉の要望が高まった。そのほか洋風化志向にあわせ乳化機能を有した米粉の開発と米の脇役として広く油脂を利用する食品類に利用可能として米の需要拡大を図るための米の微細化が進められた。
2段階製粉技術は、圧偏ロールと気流型粉砕の2段階製粉。
じょうよ饅頭の高級化や米菓の食感改善に利用、米カステラ、米クッキー等に利用。
酵素処理製粉は、マセレーテング系酵素を浸漬水に溶解して米を浸漬し細胞壁を崩してから気流粉砕する。米粉85%バイタルグルテン15%をミックスして製パンに成功。和洋中華いずれの副資材とも良く合う米飯特徴そのままパンに引き継ぐものとなっている。

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2003年度第2回 3月定例会 第2回常任委員会
(平成15年3月8日)
平成15年3月8日
(株)サンワに於いて


実施内容   
今回の定例会では、需要がめざましく伸びている無洗米について、無洗米機を導入している(株)サンワ様の協力の基、(株)山本製作所様の説明を聞き、2班に分かれ湿式無洗米機(ER−600)を実際に作動している所を見学しました。また、使う側からの設備内容・設備費用・下水処理に伴うコスト面等を語って頂きました。

評  価
実際見て・聞いて・触れて無洗米の知識が向上したと思います。また、(株)サンワ様の工場を見学し、これからの米メーカーのあるべき姿を見ることが出来ました。申し送り事項現役メンバー7人・シニアメンバー20人の参加で、現役メンバーが非常に少なく思いました。次回5月定例会では、少しでも多くの現役メンバーの参加をお願いします。

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2003年度第1回 1月定例会 第1回常任委員会
(平成15年1月19日)
平成15年1月19日
京都国際ホテルに於いて
農政評論家 土門 剛氏


現在の日本の米関税は、実質490%である。
カリフォルニア米  流通マージン  70円+60円+341円=471円/kg
中国米  流通マージン  60円+60円+341円=461円/kg
今回のWTO交渉価格は、一律25%関税という交渉。一律25%とは、今の関税価格の半値8掛け2割引の要求である。
ということは、 70円+60円+100円=230円/kg
国産米の最低価格200円/kgとほぼ同じになる。
平成14年12月3日 米政策改革大綱が発表された。 凄い改革である反面、減反は無くなった。
全農の売り上げは、いくらか? 年々大きく減少してきている。
全農は何も生まないその全農の売り上げが下がることは、危機である。 全農の危機は、危機に気付いてないことだ。
農協の預金はヘッジされるのか? 誰に 誰が
減反 → 所得保障 (系統とともに)
・ 多集米 ・野菜
農地の課税強化
青森竜飛岬 地代 @13,000円
中里町 @40,000円
富山県 @13,000円
  12俵144,000円で40,000円の地代
  10俵150,000円で30,000円    *農地の賃料は相場で決まります。
賃料の相場は、その地域に農業の他に産業があるかどうか(農家にとって農業のほかに収入源があるかどうか)によって決まります。
収入源があれば、何も農業にしがみつく必要はなくなります。よって生産意欲がある人が減り相場が下がります。現に賃料はタダという地域もあります。(田作を放棄するとその田んぼから虫が発生し、まわりの田んぼに迷惑がかかるため)賃料が上がるのは、その地域に農業のほか産業がないからです。安い米を高い賃料で作るのは間尺に合いませんが、他に収入源がなければ、収入を増やすには他に選択肢はありません。
農協 → 全農 → 経済連
集荷だけするので、過剰米が発生する原因に成っている。
これからは、集荷力のある肥料商がいい。
・誰が米をちゃんと作るか
・減反の助成金は受けない WTOの規約
・田植え=販売
トレーサビリティについて
トレーサビリティのあるべき姿は、民間と民間がやることである。それを公平な第三者機関が証明してやることである。国がやることではない。ドイツのトレーサビリティは、大変良く出来た制度である。
国内のGMSは、ジャスコがはじめた。しかし規準が60〜160項目あり、厳しいので、生産者・流通が着いていけないだろう。先ずは、HACCPを農地に持っていくような発想から始まってはどうだろうか。
トンボとホタルが証明する防除暦をつける。
これからの農産物は、トレーサビリティを行うものは、高く売れ、行わないものは、ディスカウントストアー行く。
防除暦をどうつけるか、簡単なマークシート方式が良い。
安い認証団体が出来るだろう。
備後漬物 中国で白菜、1番良いものが日本へ 悪いものは、国内で消費される。九州では、ナフサク無しでは、生産が考えられない。本当に良し悪しが峻別される。
中国での生産物の弱点は病原菌である。世界中で一番安い原材料を調達するマクドナルドが中国野菜を使わないのはそこに原因があり、逆に言うと、それが日本農業が中国農業より勝っている点である。ヨーロッパのトレーサビリティは、病原菌まで調べる。
今後は、ヨーロッパのトレーサビリティを見習ってはどうか。その始まりは、96年のフードスキャンダルが発端でチェーンストア協会が始めた。これらの問題に政治主導はありえない。
日本はまだまだ、賞味期限・存在意義を失った企業が退場しないで残っている。あらゆる補助金をやめることが必要である。
以上

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