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コラム「説く盛りどんぶり」 63杯目

この夏おそろしいCMの登場

社会による、未必の故意のチャイルドハラスメント

「主婦の夏休みも今日で終わりね!」
二人の若い主婦の、夏休みも終わりに近い、ある日の午後の会話のコマ-シャルの文句である。
これを聞いて、唖然とした。
ショックを受けた。
「そうだ!林間学校ではカレ-だったよね」
そして、よい子の子供達は嬉しそうにカレ-を食べる。

某大手カレ-メ-カ-のCMである。カレ-は子供の好きなメニュ-の最一番手である。子供が本当のお客さんである。しかし、私には、この会話の中に、子供に対する愛情など何処にも感じる事が出来ない。
ぞっとするのである。一体どう言うつもりだろう。
子供は、まるでお母さんの自由の邪魔者に聞こえる。大人がすでに、確実に壊れている。
世間で議論されている、男が育児をする、しないの以前の問題である。

スポンサ-は一部上場の大企業、それを放送しているのも大企業、
これもおかしいが、番組は辛口ト-クのニュ-ス何とかである。
社会問題を辛らつに取り上げている。そして今も、毎日のように起きる子供事件の問題を世間に投げかけている。

CMを見ていて、耳を疑い目を疑う。お母さんの立場にたってのCMだろうが、「大人社会がここまで無責任だから子供が壊れている」と、すぐに思わずにいられなかった。
それより何より、このような会話が、普通にしかも平気で何千万と言う人の前で流され、不思議なく受け入れられて、だれも異論を唱えない現実に唖然とせずには居られない。

出ているタレントも無神経、プロダクションも無神経、企画会社も無神経、スポンサ-も無神経、放送会社も無神経、見ている国民も無神経である。
商品を売ろうとして流し、売れればいいのだろうが、これでは、余りにも子供がかわいそうである。

いったいこの国の物の考え方はどう成っていて、どこへ行くのだろう。良識は何処へ行ったんだろう。
そして、国民の考える幸せとは何なんだろう。
こんなCMを流して不思議に思わない感覚の国民の居る国に、未来などあるとは思えない。
狂っているとしか思えない。

先年、太平洋に浮かぶ小さな島ロタ島と言う所に行った。グアム島の南にある島で、テレビも無い新聞も無いところだった。
食事をする所で、地元のウエイトレスと話をした。私に子供が居ないと知って彼女は満面に微笑を浮かべて、「今お腹の中に4人目の赤ちゃんが居るの」「子供っていいわよお~ぜひつくりなさい」と言ってウインクした。
島には小学校と中学校が一緒に成っている小さな学校があって、みんな仲良くバスケットボ-ルやキャッチボ-ル遊びに声が高かった。所得は低い。物も、不自由ではないとは言え、日本とは大違いの所である。仕事も無い。

しかし、なぜ、経済は大国で、豊かと思える日本でこんな事に成り、あちらではそんな事に成っているのだろうか。
私には何処でどう変わってしまったのか、本当に解らない。
日本の子供の問題は経済以上に大きな問題である。国の将来の問題であるからである。
DINKS、パラサイトシングル、結婚しない男と女、全く文明病としか思えない。
歴史に学べば、ロ-マ市民がこうなってロ-マ帝国は崩壊して行った。

ため息も出ないが、こういう事を言っている私は、時代に取り残されているのだろうか。それとも、私がまともなのだろうか。
本当に、幸せや豊かさとは何処にあって、どういう事を言うのだろうか?
日本人にとって、経済の滞っている今こそ最大のチャンスである。
そこから考えないと救われない。

BON

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