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コラム「説く盛りどんぶり」 71杯目

業界の常識は世間の非常識

日本酒は米から造られますが、米だけで造った酒を「純米酒」と言います。
 どうして、わざわざ純米酒として区別しているのでしょか?
 それは米だけで造っていない酒があるということです。大雑把に数字を掴むと、米だけで造った純米酒と純米吟醸酒で約10%。醸造用アルコールを添加した吟醸酒と本醸造酒が約20%。残り約70%は一体何でしょう?
 50%強が普通酒。約15%が三増酒です。
 日本酒は米の歴史でもありますので、食管法が施行された昭和17年に酒税確保のために、アルコール添加が認められました。敗戦直後、昭和21年に極端な米不足から、三倍醸造法(醸造用アルコールを大量に添加し、味を調えるために水飴などの糖類を使う増量製造法)が始まりました。
 その時代は米不足、物不足もちろん酒不足ですから庶民にとって大変重宝した酒であったことは間違いないことでありましょう。
 しかし、現代の状況下で純米酒と吟醸純米酒がたったの10%、少量の醸造用アルコール(米1トンに対して120リットル以下)を使用した本醸造と吟醸が20%。合計たったの30%という事実が「米」の将来を暗示しているようでなりません。
 酒は本来、嗜好品です。それを「味」よりコスト優先であったからでしょう。一度安く造る三増法やってしまえば、米だけで造れば3倍のコストが掛かってしまうからです。
 米業界も価格競争に明け暮れ「食味」「安全」「ブランド」の追求を忘れて「消費者ニーズ」「デフレ対応」だと言い、ごまかし「ブレンド米」を売り、不味い「無洗米」でも販売が増えるようだと、消費はもっともっと減ってしまうでしょう。
 特に専門店で生き残る、勝ち残るなら自分、自店、自社の理念・方針・考え方を明確にすることであると思うのです。
 それは、全国津々浦々にあった4000もの酒蔵が1600弱に淘汰され、その中で確固たる地位を得て頑張っている酒蔵に米屋と米農家の将来のヒントがあると思うのです。


みのる

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